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山小屋日記 「復刻版」 (邦子)

上高地の売店の裏で薪割りしてたら、親爺が「おうぃ、セイガク、お客さんだじぃ」と声を掛けた。
売店の客だと思って店にでたら何と、邦子だった。
吃驚して、何で此処に居るって分かったのかと聞いたら、北アでバイトするって言っていたじゃん、と言われた。
そんな事言った記憶が無いけど、それにしても北アといっても広いのにと思ったら、今時電話の無い小屋なんか
無いと言われた。なるほど、浅はかな質問であった。

ハイカー風の老夫婦の客が来て親爺と何か話していた。
親爺が「おうぃ、セイガク、このお客さん独標か西穂まで案内してやれ」と言い、上の小屋に何やら電話した後、
倉庫からジュース等の箱を持ってきて「ついでに此れ持って行ってくれ」と言った。
ハイカー風の老夫婦と一緒に登るには軽すぎるから、もっと持っていくと言ったら、親爺は老夫婦の荷物も
持たなきゃならないことになるかも知れないから、それだけでいいと言った。
邦子が空かさず横から私も一緒に行くと言った。
親爺がお客に持たせる訳には行かないと言うので、大丈夫ですよ、コイツは俺より背負えるから、と言ったら
感心した様な顔をしていた。
邦子が笑って「背負子、一枚貸してください」と言って老夫婦の荷物と自分のザックを、背負子にさっさと
括りつけているのを見て、親爺は「ほう」と言ってニコニコしていた。
実際問題、邦子にとって其の程度の荷物は何でもないと思った。
西穂売店
上の小屋には連絡が行っていたらしく、邦子は宿帳無しに部屋に通され、俺は、売店の仕事を手伝った。
夕食前後、邦子は老夫婦とすっかり仲良くなって話し込んでいた。

夜、邦子の部屋に行っていろんな事を話し込んだ。
邦子は色々な山の情報を教えてくれたけど、JRCの事も詳しいのには驚いた。
MPCの山口君は未だアルプスに行っているらしい。
今年のヨーロッパは日本人村の乱立で、名のある岳人を何処の街でも見かけ、まるで日本にいるみたいだったと
邦子は言っていた。
邦子は多分山口君と山以外でも付き合っている、そういう臭いがする。
邦子が誰と付き合おうが邦子の勝手だし、阻止し得るものでもないし、妨害する気は無いけれど、分かれた女は
妙に綺麗に見える。
なるべく性的な妄想を起こさない様に、体を見ない様にして話していても、全く思い浮べないでいるのも過酷な話だ。

邦子は何にも感じて無いのだろうか。
否、そんなことは無いだろう、少なくとも俺が困っていること位は感じていると思う。
彼氏の話でもしてくれれば気が減退すると思うのに、聞かないからか話したくないから話さないのか、兎に角
意地悪な女である。
昔から邦子は無口な方だ。
三人衆と喋っている時とかCCCの連中といる時とかは結構喋るが、俺と二人の時は余り喋らなかった。

山口君が彼氏なのかどうかは分からない。
彼氏で無くても体の関係は持てる女だし、体の関係を持っても明日には他人になれる女だという事は僕が自身が
証人になれる。
だから、山口君が彼氏であってもなくても余り意味が無いかも知れないけど、矢張り気になる。
気になって仕方ないという訳ででは無いが、どうもぬるま湯に浸かっているみたいで気分がすっきりしない。

どうせこっちは捨てられた身、どうでもいいと思って、「どう、最近彼氏出来た?」と思い切って聞いてみたら、
「障ちゃんとしたの?」と来た。
来たぁ、又、来た。いつも此れだ、全然昔と変ってない。
昔、気が成熟したら必ずそうなるって、予言めいたことを言っていたのを思い出した。
隠したって始まらない。既に過去の話だ。
それにしても、預言者邦子先生の言うとおり、確かにあの時は当に気が熟したという感じだった。
やっぱり・・・、邦子はまるで予言が的中した事に満足したみたいな言い方をした。

最近彼氏出来た?に対しては、知らない・・、此れがそのは問への回答の様だった。
知らない、こういう含蓄臭い言い方をするとき、昔の邦子なら其れは質問無き質問への複数の回答を意味していた。
最近彼氏出来た?って聞いた事自体、曖昧な質問だし愚問だった。
もっと、直接的な聞き方をすべきだった。
昔の邦子の様に直ぐにpull off.したらどうしようと思った。

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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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