失恋教室
女性は恋に生きるものだから悲しい恋も絵になるけれど、恋しても恋しても捨てられは捨てられている男って、只、恰好悪いだけですね。
Entries
和解 (Toko)
偶然と言っていいかもしれないが、Tokoと退社時間が残業で一緒になった。他に誰もいなかったので、何となく二人で一緒に帰った。川崎で、お茶でもしようと誘った。Tokoも話し合いに応じる姿勢を示した。同伴喫茶と看板がある店に入った。背凭が高く、暗い店内は人の気配はするのに異様な静かさで、一体どういう店なのだという感じだ。辺りでは小声で何か話している声もするが、殆ど誰も喋っていないので、雰囲気に押されて...
グリーン (六郷河川敷)
会社の帰り、何時もの堰堤の対岸にある河川敷のゴルフ場にとTokoを連れて行った。今年一番の冷え込みで、夜空に息が白い。今夜は半分は抱く気がある。この前はTokoに恥じをかかせてしまったかも知れないから、若し欲望を感じたらきっちりと止めを刺してやる気はある。Tokoを抱くのにもう挨拶はいらない。抱きたいという意志は伝えてあるし、Tokoも抱かれる意志を伝えてくれている。抱き合ってキスして、脱がせてす...
初めてのキス
其れはもう冬も迫る晩秋の会社帰りの夜の多摩川土手だった。川面に向かってたたずむとし子の唇を奪うつもりで弁当箱片手に背後から迫った。許容する範囲の距離よりも近づいているのをとし子も背後に感じたらしく、多摩川を渡ってくる京浜急行の電車を指さして、「ほらほら、あれ何?」と言った。”ほらほら”は、異常に接近するのを止めさせるための警告音、”あれ何?”はその接尾語でしか無く、言葉自体に全く意味は無かった。多摩川...