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山小屋日記「早坂コレクション」

お茶の時間に「早坂」さんの話題が盛り上がった。何だか凄い人だったらしい。最初はみんなが何の話をしているのか分からなかった。誰も説明してくれないので話題に入れない。気の毒に思った芳兵衛が、昔早坂さんという凄い人がいたのよ、と教えてくれたけど、何が凄いのかは教えてくれない。お茶が済んで、芳兵衛に、何が凄い人だったの、と聞いた。変な人だったのよ、と芳兵衛は答えただけで、後は教えてくれない。何だか言い難そ...

山小屋日記 「沈黙の日々」 (アキちゃん)

8月に入って、下りていたアキちゃんが再び戻って来た。上のバイトと交代ということらしい。ということは、ケンちゃんにアノ事はバレていないという事だろう。ところが、ケンちゃんからアキちゃんが結婚すると聞いて吃驚した。相手は下の調さん、つまりは職場結婚だ。調さんはいかにも手の早そうな人だ。そうでなくても目立つアキちゃんのプロポーション、下の売店でなら三日もあれば二人は関係してしまうだろう。何時から結婚が決...

山小屋日記 「ウサギ」

芳兵衛とウサギの罠と鳥の罠をかけに行った。罠の作り方は親爺さんに習った。方法としてはかなり原始的な方法で、童話にでも出てきそうな位に単純な罠だ。夕方、罠を回収に行ったら、ウサギがかかっていた。死んでいてくれればいいのに、苦しがりながらまだ生きている。いまだかつて四足も二本足も殺したことが無い。自分より強い者なら殺せると思うけど、弱い者だと可愛そうで殺せない。困った。罠を外せば逃げていくだろうか、そ...

山小屋日記 「独立標高点の宴会」

小屋のシゲっちゃんとか良とか若い連中と常駐隊の中野さんと酒を持って独標に向った。夜中の宴会だ。真夜中に穂高の山頂へ酒のみに行くというのは、街で言えば飲酒運転みたいなものだが、夏の一夜くらい酒飲んで騒いで見たいものだ。小屋で騒ぐ訳には行かないから、野外へ、ま、独標くらいまで行けばどんなに大声で騒いでも誰にも聞こえはしないだろう。それでも山頂から酔って墜落することもあるかも知れないからザイル一本持って...

山小屋日記 「悦っちゃんの電話」 (悦子)

悦ちゃんから突然電話を貰った。今、上高地に来ているという。吃驚した。山小屋に入るという事は手紙で話してあったが、山に来るとは思わなかった。この間叔父貴が来て暇を貰ったばかりなので、又、抜け出すのは流石に気が引ける。一寸、上高地まで降りるのは難しいから、こっちへ来ないかと言おうと思ったのに、口から出たのは、何処行くの?だった。何処行くのって、俺に会いに岡山から出て来たのに違いないのに、可愛そうな事を...

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ひろあき

Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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