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山小屋日記 「山小屋の女あさり」

7月上旬戸隠が終わって、穂高に入った。いよいよ穂高でのバイトが始まる。JRCの動向やガンの事も気になるけど、勿論障子の事が一番気になるけど、正直なところ山にこもりたい気持に勝てない。逃避? ま、そういえばそういえなくも無いけど、剣への対抗もあるし単なる逃避ではない。それに純粋に穂高への憧れもある。むしろ穂高への純粋な憧れ、それが一番の動機だと思う。上高地の売店にケンケンさんがいて、面接試験を受けた。...

山小屋日記「最初の仕事は」

日常的には朝晩の食事の支度が一番の仕事で全員総がかりで対応する。その仕切りは芳兵衛、ま、総料理長と言う感じ。それにしても、山の食事は粗末なものだ。炊飯釜は別として、コンロは二台しか無く全く普通の家と変わらないのに百人を超える客の腹を満たすのだから、そんなに凝った物は出来ないから仕方ないけれど、そんなものでいいのかなと思っても芳兵衛には言えない。僕らの仕事はジャガイモの皮むきとかの下処理と配膳、この...

山小屋日記 「悦っちゃんの電話」 (悦子)

悦ちゃんから突然電話を貰った。今、上高地に来ているという。吃驚した。山小屋に入るという事は手紙で話してあったが、山に来るとは思わなかった。この間叔父貴が来て暇を貰ったばかりなので、又、抜け出すのは流石に気が引ける。一寸、上高地まで降りるのは難しいから、こっちへ来ないかと言おうと思ったのに、口から出たのは、何処行くの?だった。何処行くのって、俺に会いに岡山から出て来たのに違いないのに、可愛そうな事を...

山小屋日記 「独立標高点の宴会」

小屋のシゲっちゃんとか良とか若い連中と常駐隊の中野さんと酒を持って独標に向った。夜中の宴会だ。真夜中に穂高の山頂へ酒のみに行くというのは、街で言えば飲酒運転みたいなものだが、夏の一夜くらい酒飲んで騒いで見たいものだ。小屋で騒ぐ訳には行かないから、野外へ、ま、独標くらいまで行けばどんなに大声で騒いでも誰にも聞こえはしないだろう。それでも山頂から酔って墜落することもあるかも知れないからザイル一本持って...

山小屋日記 「消えたキャベツ」 (G)

10月20日シゲちゃんとセマ谷に落としたキャベツを探しに行った。落としたキャベツはどうなったのだろう?出かける口実はなんでもよかった。とにかくいい天気なので小屋にじっとしてはいられない。芳兵衛を陥落させた喜びで、気が晴れ晴れとしているし、気分は最高だ。実のところ、続けて芳兵衛を抱きたいのだけれど、中々チャンスが無い。芳兵衛は身を任せたのだから、求めて拒まれることは無いとは思うけど、それでももう一度...

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ひろあき

Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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