失恋教室

女房の勤務シフトが又突然に変わった。
今日仕事に出かけるというのは構わないが、予想通り定例会の日がオフになっているのは迷惑な話、また慌てて啓子にメール。
北鎌婦人とはデートの約束も無いから心配無いけれど、其れでもデートの約束する時は女房の出勤が何時も通りのシフトを前提にする。
約束前ならまだいいけど、約束後にシフトを代えられるのは面倒だし、其れで全ての予定が来るって仕舞う。

こういう事もあるから、雇われる身で無く雇う方になれと言うのだが、女房には雇う側になる気は全然無い。
基本的にはＭタイプの人間という事になるけど、Ａ型のＭタイプは可愛らしいしＢ型のＭなら女らしいから許せる。
ＡＢ型のＭタイプというのは自分からは何もしないくせに人にしてもらう事だけは一人前、無く腹立たしいだけだ。

啓子に電話で無くメールにしたのは急がないからだ。
定例会は中止になっても、この糞暑い夏、定例会の夏休みというのもあってもいい気がする。
其れに電話だと振り替えになってしまうかも知れないからと思ったのだが・・。
結局、メール効果は無く、電話したのと同じだった。

「直ぐ、行きます」
前回も振り替えは月曜だったけど、「直ぐ、行きます」は何となく分る気がする。
僕の場合は金曜～火曜まで女房がいるから、この間にストレスが溜まってくる。
自分からは何もしないくせに人にしてもらう事だけは一人前の女房とは毎日喧嘩の連続だ。
殆ど毎日といっていい。
やる事為す事全てが気に入らないし口の利き方言い訳も気に入らない。

昨日、ＤＩＹへ行った時女房は日常生活用品をどんどんカートに入れた後で俎板見てくると言った。
何で俎板買うのか？と言ったら汚れていて落ちないと言う。
俎板は削らなければ落ちないよと言ったら、じゃ削ってと言う。
仕方ないから削ってやろうと思っていたら、６５０円だから買って来たと言って又カートに入れた。
レジ、払って貰える？　女房がいやらしい顔でそう言う。
何で俺が払わなければならないのか！と腹が立つけど毎度の事、渋々払わさせられた。
可愛い女なら払ってやりたいと思うけれど、憎らしい女だと払う度に不快になる。

その帰り、親戚がおはぎを作っったから分けてくれると女房が言う。
車の中はＤＩＹで勝った木版などで満載、サイドミラーすら見えないので極度に運転が危険、女房が道順を指示する。
女房の道順は僕とはまるで違う、僕に言わせればなんでこんな道から行くのだ？と思うが、女房は何時も此の道から行くと言って譲らない。
其れが最短だと言うのだけど、最速ではない。
女房に言われた通りの道に入ったところでやけに丁寧にお辞儀をして来る自転車に乗ったお巡りさんに遭遇した。
「今、右折して来ましたよねえ、あそこ右折禁止なんです、標識も出ていますし、違反です」。
ガチョン！！
せせと溜めた無事故無違反、初めてのゴールド免許入手直前に検挙、ショック！！
「何時も通っていた・なんで此処が違反なの？・誰が違反と決めたの？」
女房が訳の分らない事を警官に言っている。

サイドミラーさえ見えない積載、左折とか左後方の自転車やバイクにばかり気を使っていたから標識には全く気が付かなかった。
何時も通っている・これが一番近い道だとガンとして譲らない女房の言葉を信じて言われる通りに進入した僕が間違いだった。
警察に払うほど馬鹿げた出費は無い。
まだ家に少し残りがあるからとＤＩＹで買い残した木工ボンドと網戸の填めゴムを買っていたら、或いは女房の買った俎板を買わなかったら警官に遭遇しなかっただろう。
そうすれば女房の買い物代で金が無くて買えなかったペンキも罰金で沢山買えた筈！と思うと腹が立って来る。

夜、女房は洗物もせず横になって世界陸上を見ている。
ゴキブリが喜ぶから生ゴミは処分しろといつも言うのでが、女房は疲れたと言って何時も台所は片付けない。
女房はいつも使いっぱなしの散らかしたままの鍋釜の空き間を使って調理する。
瀬戸物やガラス食器は二日に１回は割る。
流し場に積み上げたまんまの食器の下の方から使いたい食器や鍋をガチャガチャと引き出すから割るのは当然だ。
いくら注意しても直らない。
お袋は反対に食器を一度も割ったことが無いのが自慢、この二人が仲良く暮らせる訳が無いのも道理だ。

女房が買って来た俎板、６５０円だからと言うが、滅茶苦茶小さい。
まるでままごと用、子供の玩具みたいなヤツ、狭くしたまんまの調理代で使うには最善？という事なのだろうが、其の内俎板もコーヒーカップのソウサー位になるかも。
女房が汚れて落ちないからと言っていたまな板、見ると真っ黒、どうやったら此処まで汚せるのか？
女房がゴロリと横になって陸上の世界選手権をテレビで見ている間、その汚れた俎板をワイヤーブラシで懸命に削った。
約一時間、見事に真っ白に・・と思ったらもう一枚真っ黒な俎板が出てきた。
黴のお墓？　いや黴の産院かも知れない。
コッチはさらに大物で一時間半こすって、漸く使える位迄にはなったが真っ白にはならなかった。
ワイヤーではこれ以上は無理、後はグラインダーで削るしかない。

生ゴミも処理、たまりきった洗ってない鍋釜食器も全部洗って終了、女房は？
テレビをかけたまま白川夜船、朝になって有難うもお疲れ様も、綺麗になったの一言も無かった。

啓子が来た。
「直ぐ、行きます」から一時間一寸、バイクで来るには標準的なコースタイム、時間だけを言えば特別に急いで飛んで来たというほどではない。
しかし、予定外のメール、メールを受けてから支度した・・となると実際の走行時間は３０分？
超ハイスピードだ、よく白バイに掴らないものだと感心する。

啓子に掴った話をした。
啓子が免許証を見せて、ゴールド十回更新中だと言った。
頭に来たから啓子をひん剥いて、昨日溜まったストレスを全て啓子に放出してやった。
このごろ啓子は積極的になった気がする。
基本的には・・・、基本的には啓子もＭ、ドＭという程では無いと思うけれどＭには違い無い。
女房もＭ、同じＭだけれど全然違う。