失恋教室

女はもう少しで往けるところまで行って男にさっと逃げられる位が丁度いい。
そうでないと男を大事にしなくなる。

昨日女房相手にそう思ったばかりなのに、どうも今日は勝手が違う。
相手が違うと学習効果も無力になるという事かも知れない。
女房でも女房を人妻だと思って抱けば立つことが分った。
自分の女房だと底が知れている。
どうすればどうなるか、こうしてもこうならない等々何でもやる前に分っている。
それが快楽に繋がる事ならまだいいが、繋がらないと分っていると全くやる気が起こらない。

其の点、人の女房は未知なる期待がある。
女に亭主がどんな事を仕込んでいるのか分らない処がなんともいえない魅惑。
そういう意味では男のいない女よりも男がいる女の方が神秘なる期待が大きい。

今日は定例会だという事をすっかり忘れていた。
危ないところだった。
偶々カレンダーを見て、はっと気付いたから良かったけれど、見なかったら出かけてしまったところだ。
月曜日に腸内検診に行った。
前回は啓子が着いてきてくれたので今回は又負担をかけるからと知らせなかった。
それで下腹時計が狂ってしまったのだろうか。

啓子を人妻だと思って抱く時は何故か睾丸がグリグリっという軽い痛みを感じる。
恋人だと思う時と人妻だと思う時は明らかに睾丸の感じが違うのは何故だろう。
グリグリっと”目下急ピッチで製精中”という感じだからと言ってたっぷりと出る訳では無い。
ではあのグリグリっという軽い痛みは何なのだろう。

女はもう少しで往けるところまで行って男にさっと逃げられる位が丁度いい。
そうでないと男を大事にしなくなるという理論は啓子には向いていない。
向いていない以前にその理論は啓子には実践的に無理がある。

啓子も女房と同じで勝手に往ける女、勝手に往けるという意味では女房より酷いかも知れない。
よく言えばタイミングを調整出来る女という事かも知れない。
勿論啓子にも男と同じで限界はあるみたいだが、絞って絞って往くのを我慢する機能がある感じだ。

そういう機能が啓子にあるのなら女房にもあるのかも知れない。
しかし女房がブレーキを掛けていたりするのは見た事が無い。
女房はエンジンがかかれば後は常にアクセル前回、ブレーキを掛けても止まらないのかも知れないが掛ける気が元々無いのだろう。

啓子はブレーキだけで無くアクセルを掛けたり閉めたりしているのだろうか？
コントロールを女がしているとすれば、女をもう少しで往けるところまで行かせて逃げ切るのは不可能だ。


臨床実験の結果、答えは全て”ＹｅｓでありＮｏ”であった。
結構難しいというか複雑なものらしく、色々な要件と絡んでいるので単純には正解はなさそうだ。
それに啓子自身も分らないという部分が沢山ある感じだった。
啓子曰く”判らないほうが素敵”、なるほどそれもあるなと思った。

実際、往く時間の調整はある程度は可能らしい。
啓子の好み？としては射精を受けてから往くのが一番幸せを感じると言う。
それが一番安心して往けるという事の様だが、要するに其れは調整しているという証拠だ。

一つ判った事は啓子が着いて来るのを待つ必要は無いという事だ。
男が往く態勢になっている事は女には判るらしい。
問題は其処で女が”待って”と思うか思わないか、其れが女のレスポンスの違いらしい。

よく亭主が勝手に一人で往ってしまって女房が取り残されるという話を聞く。
取り残された女房は不満だろうなと啓子に言ったら、”判る”と言っていた。
どうやらそういう待っていてくれない亭主は不親切だという事らしい。

然し啓子の場合は勝手に往ける女、往くも往かないも自分で調節出来るのでは？
女が往きそうかどうかを男が探っている事も女には判っているらしい。
啓子は自分がまだ往きたくなくてもそう感じた時は亭主の為に急いで追いつくらしい。
そういう”相方の為に”という処が素晴らしいし、其れが愛おしく可愛い。

俺の為にもそうやって調整してくれているのか？と喜んだら外れた。
全くそういう意識は無いらしい。
一寸がっかりした。

然し、放った直後には必ず啓子は往く。
無意識にそうなっているのであれば、それはもう相性というしかない。
相性がいい女、其れは其れで嬉しいものだ。

一緒に往く、それが理想だが啓子は放たれたのを感じながら往くのが一番幸せを感じるらしい。