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山小屋日記 「ウサギ」

芳兵衛とウサギの罠と鳥の罠をかけに行った。
罠の作り方は親爺さんに習った。
方法としてはかなり原始的な方法で、童話にでも出てきそうな位に単純な罠だ。
夕方、罠を回収に行ったら、ウサギがかかっていた。
死んでいてくれればいいのに、苦しがりながらまだ生きている。
いまだかつて四足も二本足も殺したことが無い。

自分より強い者なら殺せると思うけど、弱い者だと可愛そうで殺せない。
困った。
罠を外せば逃げていくだろうか、それとももう首が絞まって生還できないのだろうか。
赤い目が悲しそうに僕を見ている。
弱肉強食というけど、若し僕が人間に生まれていなかったら、若し肉食獣だったらとっくに飢え死にしている気がする。
草食獣だったら食い殺されている。
人間でよかった。

人間でよかった奴が人間に生まれる気がする。
だから人間は人間として生き人間として死ななければならない気がする。
人間は犬蓄生になって死んではいけないと思う。
人間として生きるとは、どう生きることなのだろう。
ウサギを食って生きるのは違うと思うが、ウサギを食わずに生きるのも違う気がする。

ウサギを殺すことも出来ないまま、罠を持って小屋に帰ったら、ウサギは目を開けたままた死んでいた。
皮は剥けなかった。
芳兵衛が剥いてくれた。
芳兵衛が肉を剥いで芳兵が肉を刻んで、芳兵衛が煮て、鍋を作ってくれた。
結局、僕は何も出来ず、芳兵衛がよそってくれた御椀を口ですするだけだった。
僕の御椀の汁が減ったら、ウサギの赤い目が現れ僕と目を合わせた。

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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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