失恋教室

倫敦で最初に好きになった人は・・・残念ながら日本人でした。

何も倫敦まで来て日本人の女性を好きになることは無いのですが、倫敦っ子との出会いの場が無いので機会がありません。
第一、一介の観光客が倫敦っ子と恋をするなんて不届千万な話で、好きな娘が見つかったとしても彼女にする可能性は
極めて低いと思います。

そうは言っても、何時も志を高く掲げていないと、万が一にも出合ったチャンスを取り逃がしていまいますから、
一応はいい女はいないかと頭には入れて歩いていますが、矢張り、只のパッセンジャーだと難しいかも知れません。

好きになった女性は同じ語学学校に通う同じ下宿の住人です。
毎日の共同生活というか共通の行動を通じて次第に恋心が芽生えて行く一般的なプロセスかも知れませんが、
彼女は或る意味で一目惚れです。
相当いい女で倫敦も街を連れて歩いても引けを取りません。
当然、下宿仲間では一番人気ですから、彼女を好きになった男は何人もいるので競争も激しいのです。

女は女の本能として男の中から一番優れた男で自分より優れた男を選びますから、好きになったからといって
自分の物になるとは限りません。
男の中で一番優れた男という点で自信がありません。

彼女は相当の大物、そして此れからもっと大物になる風格を備えています。
彼女は僕より相当年下ですが、既に今の段階で僕より遥かに大きく、気高い気品に満ちています。
家に帰れば女中が何人もいそうな裕福な家のお嬢様気配、背も高いし体も堂々として女王の様な風格があります。

競争相手は確かに多いのですが、彼女より優れた男という点で誰も該当しませんので、その意味では全員失格です。
だから、倫敦で彼女にしてしまっても、生涯の彼女に出来る可能性は全員とも限りなく零に等しいと思います。
ですから、彼女を彼女にしたいなら、倫敦にいる間に結婚してしまうしかないと思います。
そうしないと、仮に倫敦で彼女に出来ても倫敦を離れた瞬間に捨てられるのは間違いありません。

豊かな胸です。白い肌です。優雅な指です。美しい声です。
辺りに人気が無ければ直ぐにでも襲い掛かりたい身体ですが、彼女の気品と風格が其れを許しません。
女としても素晴らしい魅力がある人ですが、人間としてもっと素晴らしさを感じる人です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

さてさて、彼女を無事射止める事が出来るでしょうか。
先ず無理だと思いますが、とりあえず郊外までデートして貰えるだけでもラッキー！