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家の前で (陽子)

三週間ぶりに教室に行った。
書道の方はサボると池田のオバチャンが五月蝿いので、中々サボり難いし、もう一つこの頃明美が綺麗になって来て、
明美と一緒にいるのが楽しくなって来たこともあって、殆どサボっていないが、絵の方は五月蝿いのが居ないからサボり易い。

只、絵のほうは陽子がいるから、陽子に引かれて行きたいと思うし、陽子がいるから行きたくないとも思うので、
その日の気分次第だ。
先々週は課内の飲み会で行けなかったが、先週は気分が乗らなかった只のサボり、今日は別にどうでもいいという感じだけど、
多少陽子の事が気になったので出かけてみた。

今日は陽子の隣はブーちゃんだった。
勝手に付けた名前だけど、確か竹内とか言ったと思う。
ブーちゃんもプンプン男と同じで陽子が気に入っているらしいが、陽子の方はどうなのでろう。
陽子は誰にでも分け隔て無く親切に振舞うから、どう思っているのかは中々見抜けない。
残念ながら彼等の側には空き席が無いので側には近づけなかった。
プンプン男は陽子の動向を気にしているに違いないのだが、今日はその素振りを見せないので、
どうなっているのか分かり難かった。
プンプン男やブーちゃんは車で来ているのだろうか、それも一つのチェックポイントだと思った。

今日は見つけた空き地に止めてきた。
陽子は何時もの駐車場に止めて来たと思っているに違いない。
教室が終わった。
プンプン男かブーちゃんが陽子に声を掛けるのかと様子を見ていたが、ブーちゃんは確かに何かを喋っていたけれど、
一緒に帰る気配は無かったし、プンプン男も普通に挨拶していただけな感じだったので、待ち合わせている様な気配は無かった。
皆に紛れて俺も挨拶してと思ったら、陽子の方が先に出てしまったので挨拶しそびれた。
どうやら二回サボった間に、俺のことは忘れてしまったか、忘れようとしているのか、どっちかという感じだった。

車を止めた空き地に行って、車に乗り込んでエンジンをかけたらすーっと人影がしたので見ると陽子だった。吃驚した。
それは明らかにドアーを開けろという態度で立っていた。
何だか逃走犯が刑事に見つかったみたいな気分でドキンとした。
ドアーを内から半開きにすると乗り込んで来て、人の顔を見ながら口を横一文字にしてニヤリと笑った。
何だか背筋が凍りつく様な寒気を感じた。
何で俺が罪悪を感じなければいけないのだ!と、口先を尖らして自分に叱咤した。

乗っけてしまった以上は降りろとも言えない。
こうなったら下ろすには家に送り届けるしかない。
あの口を横一文字にしてニヤリと笑った顔はエクソシストだ、竦んで声も出ない。
いつの間にこんなになったのだろう。
P9に写生に行った時とは立場が逆転している。
あの時は陽子が蛇に睨まれた蛙、逃げようとしたら一瞬で襲い掛かられて呑み殺されるから動きようが無かったのに、
今は逆、逃げようとしたら食い殺され、あの横一文字にした口から俺の血が滴り落ちそうだ。

何を喋っても口では適わない気がする。
切り替えしが上手いのは、もうとっくに知っているから適う筈が無い。
今、陽子に勝てるとしたら腕力だけだろうが、女を相手に腕力というのも情けない。
とはいっても、P9は腕力だった。
暴力ではないにしても腕力を背景に威嚇したのだから同じ意味だ。
これはエクソシストの復讐か?

とにかく、車を家に向わせた。
途中で夕飯にとか、コーヒーでもとか言う手も無くは無いし、他にも方法はあったのかも知れないが、
目線は陽子の家の方角しか見えなかった。
陽子の家の前に着いた。着いた事は着いたが、で、どうする?という感じだ。
降りろとも言えないし、降りようとする気配も無い。
止まっていても話す事も無いしすることも無い。
車内の空気が固まった。窓を開けて、タバコに火をつけた。
吸い終るまでに降りて欲しい、何故かそう思った。

一体どういう事なのか自分でも解らない。
プンプン男は明らかに陽子に対して好意的だ。
そのプンプン男に対して陽子も好意的だ。
少なくともそう感じるし、その事に対して嫉妬している気がする。

然し、今日の陽子を見る限り、それは思い過ごしの様な気もした。
そんな事で嫉妬している自分が惨め臭くなった。

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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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