失恋教室

１１月３０日
朝、病室の付き添いの全員と患者の何人かの注目を浴びた。
略、全員に近く知れ渡ったに違いない。
流石の芳兵衛も二十人以上の視線には適わないらしく睨み返せなかったみたいだが、多勢に無勢でも流石はイビリ屋芳兵衛、
堂々とした戦いぶりだった。

又、例の佐藤さん？検温に来て、チョコッと変な事を言った。
あんまりはっきりと聞き取れなかったけど、多分昨夜の事だろう。
いいたいことは、他の患者に迷惑な事はするな！ということだろうが、若いから大変よね、ってな感じの言い方だ。
てっきり文句言われると思っていたのに調子が狂う。

背が高くて、色が浅黒い看護婦で年齢的には中堅という感じの佐藤さん、
脈を取る時に俺の腕を彼女の下腹部に押し付け気味な気がした。
一瞬、この女、俺に気がある？？？

若いから？何が大変なのか？と聞き返したいところだが、
「そうなんですよ、大変なんです」と、何だか分からないけどそう答えた。
「其れより脚の付け根が痛いのですが」、と言ったら、
「腰の骨打っているからリンパ腺が腫れているのだと思いますよ」、だと。
一寸、普通過ぎるのじゃないの其の答、さっきの若いから大変でしょうは良かったのに。

「小便が出ないのだけど」と、言ったら「後で見ます」と言うので、「今苦しい」と言ったら「出しますか」と聞く。
「出したい」と言ったら、スコスコと帰ってしまった。あれれれ！！！

数分後、一寸、へっちゃ剥れの看護婦が二人やって来て、「おしっこ出しますよ」と言って尿瓶も持ち上げた。
あ、いあ、あの、・・・、さっきの佐藤さんは・・・？？？

排尿はペニスを抓んで、尿道にストローを突っ込まれる。
小さいペニスを抓まれるのは非常に恥かしい。
一人は尿瓶を持っているだけだが目はしっかり見届けている。
不完全看護の病院なのに、排尿に看護婦二人が付っきりというのは、いかがなものであろうか。
へっちゃ剥れの看護婦は、事務的にペニスを抓んで処置すると、とっとと帰っていってしまった。
終わったあと、暖かいタオルで拭いてくれるとかのサービスは無いものだろうか。

芳兵衛は松本に用事があると言って帰ろうとした。
昨夜は不発だったので、抜いてもらおうと思ったがやめた。
ギャラリーの視線は相当の圧力だったのだろうから、チャージさせた方がいい。