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愛の告白 (家にて:瑠美子)

中野ルミ

59/07/15
瑠美子を家に呼んだ。
お袋がいなければ又瑠美子を抱きたいと思ったけれど、そういう事より瑠美子の気持が聞きたかった。
瑠美子の気持を聞くには、自分の気持も言わなければならないかも知れない。
自分の気持は自分では分かっているつもりだけど、何をどいう伝えたらいいのか分からない。

瑠美子はもう僕の事を好きになっていると思う。
だから家に来るだろうと思うけれど、そうは思っても、はっきり気持を聞いた訳ではない。
好きになってくれていないとしても嫌われてはいないのは間違いない。
それが只一つの安心感で、それが無ければ瑠美子の気持を聞く勇気は無い。

瑠美子の気持を聞く自信の無さ、それは瑠美子が僕にとって分不相応な高根の花だからだ。
瑠美子には完全に熱を上げてしまっている。
どうにもならない位に夢中、しかもそれは相当重症な症状である事を自分で分かっている。

瑠美子に逢って、どう聞きだせばいいのだろう。
自分の気持をどう瑠美子い押しつければいいのだろう。
瑠美子に愛して欲しい、瑠美子から愛されたいと思っているのは事実だ。
そしてそれが途方もない無理な願望であるという気がしているのも事実だ。

瑠美子は僕に抱かれたのも事実だが、それは愛の保証では無い。
女は抱いたら自分の物になると思っていたけどそれは間違い、抱いてもいつ逃げられないかと不安がいっぱいだ。

絶対的なもの、永遠の愛、そんなものがあるのか分からないけど今欲しいのはそんな大それたものでは無い。
瑠美子が永遠の愛を誓ってくれるとは思わないし、そんな事をしてくれる筈が無いのは分かっている。
だから、そういう事は要求しないし、期待もしていない。
知りたいのは瑠美子の今の気持、今僕をどう思っているのか、今二人をどう考えているのかという事だけだった。

瑠美子がやってきた。
お袋が向かいいれた。
瑠美子は夏らしいノースリーブにミニスカート、髪には白い花が飾ってあった。

瑠美子がこの前裸にされたソファーの前にお袋が氷の入った冷麦を出してくれた。
あの時の事が過ったのか瑠美子は少し伏し目がちだったが、話す時はバッチリと大きな目を開いてお袋を見ながら喋っていた。
開き直った?と言うか、もう只の友達では無いと彼女は確かに思っている、そんな感じに見えた。

こうした態度は僕には出来ない。
瑠美子のお袋と話す時はどうしてもお袋さんの目を正視できない。
なんというか、羞恥心なのだろうが罪悪感を負っているという感じがする。

僕のお袋にとっては瑠美子のお袋と同じ様に子供は宝物なのかも知れない。
そのお袋に対して正視出来るというのは凄い度胸だと思う。
お袋も瑠美子を見る目つきは障子を見る目とは違う気がする。
障子を見る目も微笑んでいるけれど、そういう意味では瑠美子を見る目はやや険しい。

険しいといっても、にこやかなスマイルに隠れているから何時もならそうは感じないに違いない。
瑠美子の美しさはお袋も十分に感じ入っている筈だ。
女性に限らず男性に対しても品物に対しても同じで、お袋は高級品好き、安物を嫌う。
贅沢とか見栄とかでは無く、本物志向、安物買いの銭失いを嫌っているが、瑠美子は間違いなく高級品だ。
飛びっきりの超高級品だからお袋が気に入らない訳が無いのだが、お袋の障子を見る目と瑠美子を見る目は違う気がする。
どういったらいいのか女対女のバトル? あるいは息子を取り合う嫁姑のバトル? それに近い雰囲気を感じた。

瑠美子を二階に上げた。
お袋の前で瑠美子の気持を聞く事なんか出来ないが、しかし二人になってもやっぱり切り出せなかった。
惚れた女にそういう事を聞くというのはどんなに勇気を奮い立たせても難しいと痛感した。
ああ言おう、こう言おうと思っていた事が、いざ彼女を目の前にするとその瞬間にすっ飛んでしまった。

瑠美子を椅子に座らせて、背後から抱きしめ、襟元に唇をあてた。
口で言えないジレンマがそうさせた。
そして更に強く抱きしめ、耳たぶに口を当てながら、ようやく「好きだ」と告白した。

瑠美子はどう思っているのか?
喉まで出かかっているのだけれど、心臓が爆発寸前で、どうしてもそれが聞けなかった。
瑠美子は抱かれるかも知れない事をある程度は予測していたし、それはそれで感激したけれど、
欲を言えば「好きだ」と告白した返事に、瑠美子からも「私も(好き)・・」と言って欲しかった。

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振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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