失恋教室

佐恵子が、韮山の庵に遊びに来ていた頃の事。

何時もの様に脱がそうとすると何時もの様に拒絶した。
佐恵子の拒絶は「否、否」と言いながら脱がそうとする手を止めようというもの。
本気で嫌がっている訳では無いけれど、抱かれたくないという気持は本気、別にじらしている訳ではない。
佐恵子の「否、否」を一々聞いていたら永久に佐恵子を抱く事は出来ない。

そしてその夜も、何時もの様に拒絶を無視して裸にして、そして何時もの様に合体した。
そして、興奮が高まってそろそろ射精の準備に取り掛かろうかなと思う頃合いに佐恵子が言った。
　「お願いよう、もっと下に行って！」

どうして佐恵子が何時も拒絶するのか、初めて知った。
佐恵子は抱かれる事そのものを拒絶していたのでは無く、苦しいから嫌がっていた。
佐恵子は小柄な女、普通の女と同じ様に体重を掛けたら重すぎるのかも知れないと思った。
だけど違った。

　「お願いよう、もっと下に行って！」
それは体重が重いからでは無かった。


「お願いよう、もっと下に行って！」
それは明らかに抱かれる事を厭がっていたのでは無く、抱き方の問題、要するに苦しいからと言う事だったのだが・・。

佐恵子の膣は小さい。
それは感覚的には感じていた。
佐恵子はその当時付き合った女の中では一番背が低い。
背が低い、つまり小柄な女だという事は当然分かっていたけれど、乳房もお尻も小さく無い。
痩せている女なら多少は”可愛そう”的な思いもしただろうけれど、肉付きもいいので、抱いている時は
小さな女という感じがしない。
だから、普通にやってしまっていたのだけれど、それが余程苦しかったのらしい。

「お願いよう、もっと下に行って！」
それは余り深く入らないで・・という意味だった。

以来、佐恵子の要望を取り入れて浅く交わる事にしたけれど、浅く入れていたのでは射精出来ない。
その事は佐恵子も分かっていたみたいだ。
だから最後の瞬間を迎える時だけは、佐恵子もその苦しさを我慢していた。
苦痛に耐えながら受け入れる女、其処に佐恵子を抱く新しい喜びを感じた。