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志田さん

志田さんは会社の先輩、パートで働いていた時にご主人が病気で亡くなった。

志田さんのご主人が亡くなってから暫く経ったある日、Mさん達と志田さんのマンションに行った。
Mさんは仕事上の関係で志田さんの職場に来ていた志田さんの熱心なフアン、とても熱血漢で人情家、涙もろくて
酒を飲むとよく涙を出す人だった。

その時初めてMさんは以前にも志田さんの家に行っている事を知って驚いた。
志田さんは元銀行員のしっかりした人で、その人柄からしても二人が特別な関係にあるとは思えなかったけれど、
Mさんを家に上げていたというのは驚きだったし、志田さんの息子も知っていたのも吃驚した。

それからしばらく経って志田さんは仕事上のトラブルに巻き込まれた。
非情に責任感の強い人だったので自分で解決しようと懸命だった。
トラブルの内容は会社ではあまり詳しは言わないので助けようにもどうしようもないまま、転勤が決まった。
心残りというか、トラブルを解消して上げられ兄まま、移動してしまうのが申し訳ない気がして自宅に訪ねた。

慰安訪問? 志田さんはそう受け取ったらしく訪問は喜んだけれどやはりトラブルの詳細は口にしなかった。
会社では言えなくても家でなら言えるに違いないと思っていたけど甘かった。
会社では信用されていたと思うし、なんとなく頼りに思われていた気がしていたけれど、思いすごしだった。
日常的な諸問題ならともかく、心底では頼られていなかった!と感じてショックだった。
こんな時、Mさんだったら頼れたのかも知れない! そう感じた時、志田さんを抱こうか!と思った。

志田さんは僕よりずっと年上の人、可愛い顔をした人だけど個人的に付き合う対象の人では無かったけれど、
もっと信頼されていると思っていたのに、子供扱いされていたのかと思えて自分が情けなくなった。
抱こうか!と思ったのは、もう少し大人扱いして信用して欲しいという気持の裏返しだったのかも知れない。

タンスの上に置いてあったご主人の写真スタンドを茶ぶ台に降ろして見ていたら、志田さんはご主人は優しい人
だったと言っていた。
ご主人だったら、きっと助けてあげられたに違いないと思っらいたたまれなくなって、手をとって引き寄せた。
志田さんは突然過ぎて抵抗もしなかったけれど、押し倒された時は流石に吃驚した顔をして「主人がいます!」
と言った。
咄嗟に、「だからご主人に見守って貰います」と訳の分からない事を言った気がする。
意味合いとしてはご主人だったら志田さんを助けて上げたに違いないけど、僕だって力になって上げられる!
と言いたかったのだと思う。
対して力は無いけれど一応は室長、仕事上で抱えたトラブルなら自分にも解決義務があると思っていたのだろう。
今考えてみれば、その時やろうとしていた事は完全なセクハラ、だけどその時はセクハラ意識はまるで無かった。

彼女が抱えたトラブルは職場内のトラブルではあっても業務上というより個人的なトラブルなのは分かっていた。
彼女は職制上の解決ではなく個人としての問題と思っていたから言わないのだろうとも分かっていたけれど、
個人としての問題でも上司としてでなく同僚としてでも助けて上げられない自分に腹が立っていたのも事実だった。
然し頼りにされていない自分に腹を立てる一方で、助けてあげたいと思っているのに助けを求めて来ない彼女に
対してもある種の怒りを感じていた。
心を開かないのなら無理やりに開かせてやる!そうすることで彼女の負担を取り除いてやる!という気持があったし、
無理やりに開かせ無ければ彼女は開かない! そう感じていたのだろう。

覆いかぶされた彼女は何をされるのか瞬時に分かったに違いないけれど、一方でまさか!とも思っていた気がする。
彼女の暫しの間の静寂、それはどうする積りなのだろうと様子を窺って静観したのであって、上司だから竦んで
身動き出来なかったという訳ではないと思う。
暫しの間の静寂の後、その先に何が行われるのか志田さんは確信した感じだったけれど、まだ頭の中の整理が
出来ていないという感じで横を向いて窓の方を茫然とした顔で見ていた。

志田さんは、丸みのある体の人で一寸小太り、身長的にはかなり小柄で若い事はかなり可愛い人だったに違いない。
もう、大学を出て社会人になっている息子がいる年齢になっていたけど、肉付きのいいふくよかな体はまだ往年
の若さが漲っていた。
Mさんは志田さんを抱いたのだろうか? 一瞬はそう思った事もあったけれど、それは無い!と確信した。
何も根拠は無く只の直感だけれど、あっても無くても無かった事に決めた方がいいと思った。
志田さんにはするべき事をした。
途中で止める気は無かったし、止めたら無礼だと思ったし、止めたら何の為にしていのか全く無意味だと思った。
何より、若し途中で止めたら、志田さんを鹹かったと思われるのが厭だった。
若い女性ならともかく、一定の年齢にある志田さんに対して途中で止めたら志田さんは大きく傷付くに違いない、
其れは頭で考えた事では無く、若い頃から年上の女性を何人も抱いて培われた本能的な直感でもあった。

翌日、志田さんは普通通りに出勤した。
どんな顔をしているのか、其れは会社で会う楽しみだったが、志田さんは予想とおりも平生な顔だった。
それでも心持羞恥を浮かべて赤くなっていた気がしてほっとした。

その後、転勤になって数日経った頃、志田さんのトラブルを打ち明けさせる為に飲みに連れて行った。
もう他人じゃないのだから言えるに違いないと思ったのだけれどトラブルは打ち明けず、強い人なのだと思った。
転勤して数カ月して、志田さんの新しい上司から正社員登用申請書が上がって来た。
部門の役目がら印鑑が必要だったので黙って承認印を押したけど、志田さんは正社員になる事を望んでいたのか!
それすら気がつかなかった自分の無能さに自分で自分が恥ずかしかった。

それからまた暫くした社内的な宴会の席に同席した志田さんから「正社員登用、ありがとうございました」と
礼を言われ、恥ずかしくなった。
僕は何もして上げていない、只申請書に判を押しただけ、何で申請して上げなかったのだろうと己のを罵った。
志田さんはトラブルの前以上にすっかり明るくなっていたのは嬉しかったけど、反面自分のふがい無さに沈んだ。

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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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