失恋教室

山田さんの奥さんから新大阪着の予定時間を教えて来た。
新幹線か飛行機かという話もあったけれど、伊丹まで迎えに行くのも面倒だし、かと言って一人で迷われては
なお面倒なので新幹線を勧めておいた。

到着時間はいいのだけれど、何処を案内するのか、その辺を全く調べていなかった。
何しろ気分は同窓会、奥さんの身体をどうやって楽しもうか？とか、そっちの事ばかりで、観光先の事は
殆ど考えていなかったからヤバイ！！
元々、京都云々は単なる口実だと思っていたせいもあるが、在阪中の一人での行き先辺りも少しは相談に
のってやらないと拙い。
奥さんとしては滅多にない主婦業としてのバカンス、勝手に来て勝手に遊んでろと放りだす訳にも行かない。

奥さんにどんな処に行きたいのか？と聞いた。
奥さんは別に決めていないと前置きしながら、「京都に行けるなら産寧坂 にお参りに行きたい」と言った。
その他には、十石舟に乗って見たいとか石塀小路 に言ってみたいとか、行けたら比叡山 とか、くらま温泉と言っていた。

比叡山延暦寺は実家の菩提寺、久しぶりだし、それは付き合ってもいいと思ったけれど、
その他は知らない処ばかり、案内どころかこっちが案内されそうという感じに一寸慌てた。
関西に赴任していて知らないともいい難い、慌ててコンビニに行って旅行雑誌を買い込んだ。

十石舟とは濠川という川の一時間位な船旅らしいが、石塀小路 と言うのは出ていなかった。
くらま温泉と言うのは鞍馬天狗の鞍馬山、林道にある一軒宿らしく人妻との逢瀬には感じよさそう。
産寧坂 のお参りというが分からなかった。
清水寺の事だと思うのだけど、清水の舞台から飛びおりるつもりで懺悔するつもりなのかな？

電話ではその後の身体の調子はどうかと聞いた。
身体の調子の意味する事は奥さんも直ぐに分かって「元気です」と言っていた。
どう元気なの？　意地悪して聞いた訳では無いけれど、それは迎える僕にとっては極めて重要な情報だった。

流石に奥さんは答え難そうだったけれど、奥さんは「それは、お会いした時に」と言ってはぐらかした。
以前ならこういう会話の後はテレフォンセックスに導いたのだけれど、久しぶりなので気が引けた。

話題の方向を一寸迂回して、けんちゃん達は元気か？と聞いた。
達と言うのはこけしの「けんちゃん」、バイブの「ジシさん」、飛びっ子の「マメ太」家族という意味。
どれ一つとってもご主人には見せられない物、ご主人には使わせられないと言っていたけれど、大分経ったし、
ご主人に使わせたのではないか？　そんな気がした。
奥さんは大事にしまって有りますと言っていたけれど、多分其れは嘘だろう。

で、奥さんに”けんちゃん達も連れて来る？”と聞いたのだけれど、一人で行くつもりですと言われた。
一寸残念、一人で来るという事は、使わせる気は無いという事だ。
ご主人に使わせられない！というのら分かるけれど、持って来ないというのはどうしてなのだろう？

けんちゃんファミリーはともかくとして、俺のパジャマしかないから寝巻は持って来る様にと言った。
意味合いとしてはあの窓開きパンツのエッチランジェリーを指して云ったのだけど、通じたのかどうか、
一応奥さんは分かりましたと言っていた。