失恋教室 |悪魔の腸　⑭奥さんの寝

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悪魔の腸　⑭奥さんの寝

奥さんはとても抱かれ上手な人だった。
男心をくすぐるというのだろうか、実に巧妙にそそらせられる。
多分それは天性、もって生まれた自然の性分なのだろうけれど、実に上手だった。
奥さんは消してセクシーでは無いし、かと言ってエロい訳でも無いのだけど見事に嵌められる。
多分意識して上手に抱かれたという事では無いとは思うけれど、かと言って全く無意識とも思えない。
その辺の微妙な処も、男としては吸い寄せられる大きな原因だったと思う。

奥さんはどこか”黄色いサクランボ”的だった。
お買い娘では無いから”黄色いサクランボ”的な甘く酸っぱい感じでは無いのだが、何処となく
御色気ありそで、無さそで・・という”黄色いサクランボ”の歌詞の様な感じがあった。
奥さんには最初の炬燵での接触からそういう雰囲気があったのかも知れない。
奥さんは女性だから当然動的な仕掛けは僕の方がしたけれど、静的な仕掛けは奥さんがしていた気がする。
付き合い始めた最初の頃は、そんな事を冷静に窺う余裕は無かったし、此方の仕掛けにまんまと引っ掛かったと
喜んでいたけど、寧ろ逆に誘導されていたのかも知れない。

多分静的な仕掛けと動的な仕掛けのタイミングは殆ど同時、静と動との違いはあっても、同じ感覚でいた気がする。
奥さんとの感情は互いに殆ど一致していたし、考えていた事も殆ど同じだった気がする。
刀と鞘の関係、抜いたり収めたり、その呼吸が素晴らしい迄に一致していた気がする。
だから、会話をしていてもぶれる事は無く、奥さんと一緒にいる事がとても気持ちがよかった。
奥さんが抱かれ上手というのも、その辺に原因があったのではなかったかと思う。

奥さんと会うのは全て密会だ。
ダブル不倫なのだから当然ながら田木に人目を忍ぶ。
其れがまた刺激的、人妻との交際の強い味付けなのだが、それが意外にさらりっとしている。
ドライでは無い、かなりウエットなのだがさらりっとしている。
ベトベトしては居ないのにしっぽりと濡れる、肌の相性、そういう事かも知れない。