失恋教室

山田さんの奥さんとは、中々時間的に会えないという物理的な制約があったけれど他にも制約があった。
ご主人に見つからない事、背れは絶対的な制約であり其れが条件で会って貰えた訳だが、それでも
制約は不自由だ。

然し、物は考え様、奥さんは”不自由だからいい”と言っていたけど、なるほどと思う事もある。
ご主人の様に何時でも奥さんを自由に出来たらと思うと、其れが羨ましいと思う事もあるけれど、
反対に、不自由だからこと熱く成れるという気もする。
人間、腹が減ったらいつでも食べられる！となると、その食べ物の有難味も無く食べた幸せとか、感謝とか、
大事にしたいという思いとかが感じられなくなる。
亡くなってこそ解る親の有難さ、そういうものかも知れない。

奥さんが云った、”不自由だからいい”というのは別の意味で云ったのだが、それも意外だった。
奥さんらしくないと云えば奥さんらしくないし、奥さんらしいと云えば奥さんらしいとも言えるのだが、
Ｂ型らしい奥さんの我儘な発想でもあり、その我儘も自分なりに制御していたのだと思うと意外だった。
然し冷静に考えてみると、奥さんの言ってる事にも一理ある！というか納得出来る事ではあった。
何不自由なく暮らしていると思っていた奥さんだから、その不自由が有難かったという事もあったのかも知れない。

奥さんに対するストレス、それは会いたくても会えないという事の他は殆ど無かった。
奥さんを限られた時間しか会えない中では殆ど満足して楽しませて貰ったいい思い出ばかりが残っているけど、
考えてみるとご主人に見つかってはいけない！という事は、それなりに心理的にはストレスだった気がする。
奥さんは今思えばそういう事を感じていて色々と気を使ってくれた気がする。
自ずから限界はあるけれど、限界ぎりぎりまでは認めてくれていた、そんな感じすらする。

奥さんは洋子程痛がらないけれど佐恵子程我慢強くは無いから、佐恵子の様に思いきり乳房を噛む事は出来ない。
奥さんは佳枝程弱い肌ではないけれどとし子程強い肌背は無いから歯形は勿論キスマークすら着けられない。
奥さんの乳房に歯形を残したのは新橋の長期滞留の時だけ、それも思いきり噛んだ訳では無い。
人の奥さんだからこそ出来ない事、それは当に禁じ手と言えるだろう。

最近出合ったＳＭ系のクラブに来ていた奥さん、いや凄い人がいるものだと思った。
ご主人がいるのに荒縄で宙吊、幾ら肌が強い人でも自分の体重をロープで支えてればどうしたって縄目は残る。
そのクラブではスパンキングはやらないからまだいいものの、それでもくっきりと残っていたから、
当分は内出血は戻らないだろうと思う。
度胸のいい人もいるもんだと感心したが、ご主人に見つからないのだろうか？と心配してしまった。

山田さんの奥さんにもロープを当てた事がある。
然し其れはナイロンのしなやかなロープで、肌触りは滑らかで痛くは無い。
肉に食い込む感じを目で楽しむのと束縛で自由を奪ってレイプ気分を楽しんだだけ、当然微かには跡が残ったけれど、
翌日には消えていた。
奥さん的には多少は不安はあったのだろうけれど、ノーとは言わなかった。
たぶん其れは信頼関係、後が残って困るような事はされないと信じていたのだろうと思うけれど、
何れにしても、ご主人み見つかってしまう様な事はやっぱり禁じ手、やりたくても出来ない事はあるものだ。

剃毛なんかは禁じ手の体表の様なもの、此れだけはどうにもごまかしようがないから確実にバレル。
其れを承知の上で奥さんに許可を求めた事がある。
剃毛と言うのは色々と意味があるけれど、単純に云えば可愛くなるから、してみたい事の一つだったけれど、
其れは禁じ手もいいところ、絶対に不可な事だから最初から考えていなかった。

剃毛というのは節いなもので、剃りたいと思う女性と考えた事も無い女性がいる。
まず、人の奥さんはまるで考えた事が無いけれど、独身の女性でも考えた事が無いのは何故だろう。
なんとなく概ねのパターン分析は成立するけれど、必ずしもそうとは限らない。
概ねのパターンとしては、自分を飾っていないでいい女性、ありのままで付き合える女性、そういう女性は
剃った気がする。
陰毛の凄い女性も整髪という意味で剃りたくなるかも知れないけれど、凄い女性と付き合った事が無いから
何とも言えない。
剃ると、誰でもロリータの様になるから、元々アソコが綺麗な女性を剃りたいと思うのかも知れない。
そう考えると、剃った女性は結構好んでクリニングスをした女性という気もする。

基本的にはクリニングスは余り好きじゃない。
鼻に毛が入るとくすぐったいし、間違いなく口の中に抜けた毛が入るから、気になって舐める気に成らない。
処が、好んでしゃぶりたいと思う女性も居る。
剃毛したいと思う女性は多分そういう女性の様な気がする。

山田さんの奥さんも二十日間しゃぶったからその一人、だから剃りたいという気は元々あったのかも知れない。
山田さんの奥さんは剃る事を認めたけれど、見つからない様にしてくれと言っていた。
奥さんが、条件を出したのはその時が初めてだった。
大概の事は口だししない人だったけれど、その時、やっぱり奥さんは見つからない様にと思っていたのだと思った。
剃毛は禁じ手の中でも最高級の禁じ手、流石に奥さんも心配になったという事だったのだろう。