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谷川岳トレッキング (芳兵衛)

4月9日
芳兵衛と明美と東京ロックに行く。
雨で厳しい練習になった。

4月10日
クラブの例会に出席した後、寿一郎に見送られて芳兵衛と谷川岳に向かう。
登山では無く、芳兵衛に谷川岳を見せてあげようという嗜好だ。
上野駅でRCCのバッチを着けた若者達が威張っていた。
RCCは日本のアルピニストの頂点、肩で風きるのも分かる気がするけど、最近のメンバーは品格というか、風格が無い。
芳兵衛も「RCCも地に落ちたものだ!」と怒っていた。
確かに昔のメンバーは素晴らしかった。
日本の頂点にいるに恥じない度量のある紳士ばかりだった気がする。

4月11日
いい天気だ。
ロープウエイでRCCの奥山章、小森康行さん達と出会う。
僕は小森さんのフアンだ。
彼の山岳写真は実に素晴らしい。
芳兵衛が懐かしそうに二人と喋っていた。

そういえば、奥山さんが女性を連れていないのを初めて見た。
奥山さんは何時も女連れだ。
そうとうな女好きだと思うのに、珍しいこともあるものだ・・、と思っていたら、後から可愛い子ちゃんが着いてきた。
やっぱり・・・、ま、そうでなくては奥山さんらしく無い。
この人は本当に女にもてる。
相当スケベエらしく見得るけど、きっと女性に優しい人なのだろう。

一の倉、とても明るかった。
こんなに天気のいい一の倉は珍しい。
雪渓をテールリッジまで登った。
芳兵衛にルートを説明した。
多分、分かってない。
まそれでもいい。
一の倉の素晴らしさを一寸でも分かってもらえれば・・。

しかし、一の倉は正直言って眺めただけではその素晴らしさは分らない。
一の倉の沢は、一つ一つのルートごとに全部味わいが違う。
女が一人一人味が違うのと同じで、一人一人抱いてみないとその良さが分らない。
そこが、穂高とは違うところだ。

幽の沢へ。
この明るく開けた沢は一の倉と違って、何時行っても楽しい。
その楽しさは穂高で言えば明神に似ている。
いつも明るいこの沢は、今日はもっと明るかった。

この沢はあまり登ったことが無い。
特に中央フェースを回り込んだ先の中央ルンゼは行ってみたい。

湯檜曽の川原に下りた。
穂高で言えば梓川ってところか。
しかし、川の景色は梓川にはかなわない。

芳兵衛には新横浜に姉妹がいるらしい。
姉さんだったか妹だったか忘れたが、多分姉さんではないだろうか。
芳兵衛に姉さんがいるのは意外だ。
アノおっかない芳兵衛の姉さんって、どんなにおっかないひとなのだろう。
後日記
芳兵衛は小森さんは好きだけど奥山さんは余り好きでは無いらしい事を言っていた。
どうして?
其れを聞いた訳ではないけれど、後で思ったのは奥山さんが女好きだからではないだろうか。
何時も女を山に連れて来るから・・多分その辺に理由があるのだろうが、不遜だからと思っていたけど実は・・

その正体は嫉妬では無いだろうか。
芳兵衛も奥山さんに連れられて山に行きたい・・そう思っていたかどうかは分からないけれど、誰かに構って貰いたい!
ちう気持が根底にあったのではないだろうか。

奥山さんは山の世界では結構有名な女好き、女なら誰でもいいと思われても仕方ない程色々な女を連れて行くらしい。
僕が見かけた時も登山者というよりは殆どハイカーレベル、どう見てもパートナーではなさそうな女だった。
女なら誰でもいい奥山さんに声を掛けられなかった・・となると、其れは問題だ。
美人しか連れて行かないのならまだしも、女なら誰でもいい奥山さんの眼鏡に適わなかったとなると、芳兵衛の中の
女のプライドが許さなかったという事は十分に考えられる。




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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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