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「モーテル「柳瀬」(Yoko)

8月16日、Yokoと逢う。

餃子館で昼飯を撮って、モーテル柳ケ瀬に行った。
当然、Yokoもそのつもりで来ているとは思っていたのだが部屋に入るのを拒絶された。
なんとなくだが、拒絶する意味は感じていた。
”逢っても抱かれるだけ”という感じがこの頃している気がする。
Yokoは全てを見せているのに、Yokoは僕の事を何も知らない、それがYokoの不満らしい。

Yokoは明らかに結婚を意識している。
お嫁さんになったら、お嫁さんになったら、この頃会話の中でYokoはよく良く言う。
Yokoは行きつけのパーマ屋さんには、僕との事を話したと言っていた。
当然Yokoは夫への裏切りの罪の意識を持っているに違いない。
だからこそ、相談出来るパーマ屋さんに秘密を告白したのだろう。
それはいい事だ。
誰にも相談出来る話では無い話を相談してくれる人がいう事はいい事だし、相談した方がいい。

ところが、Yokoは、母親にも話したと言った。
母親は「身を安売りするのでは無いよ!」と言ったそうだ。
母親の意見は正しい。
自分の娘を心配するのは当然な事だ。

パーマ屋さんには、全てを話したと言っていたが、母親にはどう話したのかは聞いていない。
「身を安売りするのでは無いよ!」と言われたという事は、母親はまだ其処まで行ってないと思っているのか?
或いは全てを話したのかも知れないが、どちらにしても娘から打ち明けられたら、母親なら察している気もする。

母親からすれば、”火遊びは早く止めろ”と思っているのかも知れない。
Yokoの母親と父親は離婚した事は聞いている。
母親は離婚の経験者、離婚の問題点や苦悩も色々分かっているから、出来れば娘を離婚させたくないと思っている気がする。

多娘が娘の夫以外の男と体の関係を持ってしまったかどうかは問題ではあるが、そうなったらそうなったの話、それ自体は深刻な問題では無いだろう。
だが若し、其処まで進んでいないのなら止めさせたいと思っているに違いない。
そうは言っても、自分も離婚の経験者、娘を叱ってもしょうが無いものはしょうが無いとも感じていると思う。
だから、「身を安売りするのでは無いよ!」と言ったのではないだろうかという気がする。

Yokoが僕との結婚を意識しているのは間違いない。
そうでなければ母親に告白する必然が無い。
只の不倫、只のセックスフレンド、只の遊び相手、そういう事なら告白する必然が何もない。

然し、気になる状況も無い訳では無い。
Yokoが自ら告白したのでは無く、母親に問い詰められて白状させられたという可能性だ。
月に何度も出かけて行く娘の行動に疑問を持たない方がおかしいかも知れない。
娘夫婦の行動を見ていれば母親として直感として娘に異変が起こっている事位分かる方が普通かも知れない。

母親が感づいていたとすれば、当然夫はもっと感づいているに違いない。
Yokoとしては一番警戒しなければならない相手だろうが、それにしてはYokoは逢い過ぎる。
完全に恋に落ちてしまったから、それもいとわないという事だったのかも知れない。
妹はどうだろう。
母も夫も妹も同居しているのだから、妹も何かを感jているかも知れない。

モーテルの敷地の中、部屋のガレージの前の僅かな時間。
中に入りたくないというYokoに不機嫌な顔を見せた。
何が何でもYokoを抱きたいという訳では無いが、拒絶そのものに対する不満があった。
沈黙の数十秒、「分かった!」と言って、エンジンに点火して出ようとしたその瞬間、Yokoはハンドルを抑えた。
このまま帰るのは厭だという事だろう。
このまま帰ったら二度と逢わないことになるかも知れない、そうYokoは直感したに違いない。
僕もそう思った。
Yokoと別れる気はしないが、一度拒絶したYokoをこのまま許す訳にはいかないから別れになっても仕方ないと思った。

Yokoはせがんだ。
口では何も言わなかったけれど、ハンドルをしっかり持って、車を出させようとはしなかった。
「分かった」とまた言った。
Yokoが手を離した、そしてガレージに車を入れた。

部屋の中ではYokoは拒絶は見せず何時もと同じに抱かれた。

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振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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