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ど素人登山隊「御用邸の出来事」(穂高:Yoko)

三人の住む街には適度な時間に戻ったが、直ぐに解散しないて海岸に行った。
Yokoの元気が無いのは誰もが感じていた。
Yokoは意識的に僕から離れて、夕闇の海を見つめて涙ぐんでいた。
ブチがその肩を抱いて慰めている。
そのブチの胸に顔を埋めてYokoは本格的に泣き出した。
誰もが唖然とした感じで、こまねいているけれど、誰もどうしようもないという感じだった。

ブチが多分ふざけてだと思うがYokoの胸に触った。
Yokoは防波堤に背を押し付けて身を支えていたが、其の手を払おうとはしなかった。
多分、多分ふざけてだと思うが、ブチは明らかにYokoの乳房を握っていたし、Yokoはそれを拒んで無かった。
少なくとも松の目にはそう見えた筈、その様は見るに耐えないという感じで、マツも僕も車に戻った。

車の中のリヤーシート、其処で二人が戻って来るのを無言のまま待っていたけど中々戻ってこない。
嫉妬を感じた。
ブチはもうYokoが僕と夫に言えない関係にある事を知っている。
その秘密を楯にすれば、Yokoを心理的に脅迫も出来るし、Yokoの体を要求する事さえ可能かも知れない。
然し問題はブチの脅迫ではなく、Yokoが何故ブチに胸を触られても拒まなかったのかという事だ。

嫉妬が益々強固になって、頭がカーッとなり、思わず隣にいたマツを引き寄せ唇を奪った。
マツは突然の出来事に抵抗はしなかったが「もう!・・」と言って怒っていた。
マツにしたら怒って当然だ。
多分、ファーストキスだろう、それをこんな事で想定外の男にしかも暴力的に奪われたのだから怒って当然だ。
それは解っていたけれど、マツには悪いとは思いながらも嫉妬のやり場が無く気持が落ち着くまで吸い続けた。

やがてYokoとブチが戻って来て運転席と助手席に座った。
Yokoの大泣きは収まっていたけれど、それでも未だ小さく泣いていた。
そのYokoの乳房を又ブチが触っている。
それはあたかも僕に向かって、”コノ女は頂いた”と宣言しているかの様にすら見えた。

人の女の胸に触るなんてとんでも無い野郎だと思ったが、元々僕も人の妻を横取りしているのだから余り怒れない。
不倫というのは結構弱点があるものだ。

何でマツにキスしたのか、それは偶々隣にいたからだけれど、元々マツの体は身長的にブチに向いている。
マツとブチをくっつけて上げようと思っていたけど、これで其の気は無くなった。
考えてみれば、若しもマツを奪ったとしてもちっともブチには響かなかったかも知れない。
Yokoにしては影響あると思ったけれど、考えてみれば其れは大した復讐にはならない事だった。

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Author:ひろあき
振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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