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「谷川岳幽の沢中央壁 (啓子)

8月26日
上野発

谷川は先週に続きという事で、一寸このところ頻繁だけど、何時も降られている。
ボーリングが終わってからの出発だったので、時間に遅れないかと心配した。
パートナーは啓子、山では2月末の冬の同角沢以来になるかな。
啓子とはなんだか長い付き合いの様な気がするが、考えてみるとそんなでも無い。

啓子が障子の傍にいつも張り付いているから、そんな気がしていたのかもしれない。
JRCを別にすれば、個人山行で啓子と登った記憶は殆ど無い。
なんだか不思議な気がする。
個人では邦子と邦子の彼氏?の山口君と日原の燕岩に登った事がある。
二人だけの山行は鷹取山での練習と新茅や沢位なもので、本格的な山は無い。

幽の沢の中央フェースは超本格的なクライミング、
そういう意味では非常に不安があるのに、何にも不安感が無いのも不思議だ。


8月27日
幽の沢出合、8:15着。
広大なスラブにそそり立つ中央フェースは確かに巨大な岩壁だけれど、
先週見たばかりだから、なんとなく旧知の壁という錯覚感がある。
この壁は、全ピッチをフリークライムで登れるらしい。
人工登攀が嫌いな僕としては、歓迎すべき巨大岩壁である。

二俣から、ルートを追う。
全体的にはなんだか草つきだらけで、一寸すっきりしない感じする。
一応、フリークライムとしては日本最高の困難度の壁とされている。
この壁は、ガンが僕を連れて行きたがっていた。
当時は、僕に経験が足りなかったので、連れて行ってもらえなかった。
どう考えても、当時の僕より今の啓子が上手だとは思えない。
若しガンだったら、絶対に今の啓子を連れてきたりはしないだろう。
その啓子を連れて来てしまった。
啓子にとっては初のビッグクライム、一寸大変かも知れないが、頑張ってもらおう。

展望台を降りて、カールボーデンをのぼりつめた所でアンザイレン、いよいよだ。
三ピッチでトンガリ岩の上のテラスに出る。ここからが本番だ。
二ピッチほど容易なバンドが続くが、其の先で先行パーテイが苦戦している。
啓子が「ここが問題のハング?」と聞く。どうやらそういう事らしい。
バンドで一休み、チョコレートをかじりながら先行パーテイが抜けるのを待つ。

問題のハングは登ってみると思ったほでは無かった。
ハーケンもバッチリ利いているし、余分な位に連打されている。
多分、冬に登った人が鐙の為に連打したのではないだろうか。
そこは案外簡単だったけど、その上が脆くて参った。
ハングを超えた上が脆いというのは恐怖以外の何物でもない。

多分、先行パーティも、この脆さに参っていたのだろう。
その上は立派なテラスだった。
啓子はラストの気楽さか、ビギナーズラックか、いとも簡単に超えてきた。
相当てこずるだろうと期待?していたのに拍子抜けした。

先行パーテイには二時間位遅れて取り付いている筈だが、ここで完全に追いついた。
気持のいいテラスだ。足元にカールボーデンが広がっている。眺めも爽快だ。
啓子も初めてのビッグクライムだと全く感じさせないほど快調の様だ。
改めてみると、啓子は中々いい女だ。
見た目は清楚な少女という感じだけど裸にすると結構妖艶なところもある。
そういう意味じゃなくて、パートナーとしていい女だ。
痩せていて力もなさそうだから、事故でもあったら頼りにはならないだろうけど、精神的には頼もしい気がする。

先行パーティはその先でもかなり苦戦していたので大休止、見下ろすスラブも見あげる壁も綺麗で気持いい。
それに啓子も可憐で美しいと思ったら急に抱きたくなった。
テラスは十分に広かったから障子だったら横にして抱いたかも知れないけれど、上のパーテイのラストからは
丸見えだから、流石に障子でもさせてくれなかったかもしれない。
落石の危険もあるから横たえる訳にもいかなかったし、壁に立たせて死角に入った。

僕らの取り付きは遅かったから、僕らが最後だと思っていたけどそうではなかった。
いつの間にか、すぐ傍まで後続パーティが追いついて来ていた。
トップが着いたらすぐにラストも上がって来たから相当上手なパーティの様で、もう少しで見られてしまう処だった。

その二人が啓子を見て一寸驚いていた気がする。
その一人が話しかけて来て、「山で、こんな綺麗な人がいるなんて・・・」と言っていた。
僕も、今、同じ事を考えていたのでおかしかった。

そういえば、随分啓子を抱いていなかった。
恋の病とかいうものは、一時期トコトン集中するけど、その時期が終わるとケロリっとしてしまう。
自分の恋人だとか自分の女だとかいう意識は消えて、肉親とか親戚の目になるみたいだ。

この先のピッチにも結構難しい所があった。
先行パーティと後続パーティにサンドイッチになって登るのは結構窮屈なものだ。
特に先行パーティが遅くて後続パーティが早いから押し潰された気分だけど先行パーティを抜ける自信も無い。
障子とだったら多分抜きに入ったと思うけど、その違いは障子との技術の問題ではなく二人のムードの違いだ。
確かに技術的にも障子に一日の長があるけれど、啓子はバイクに乗ると途端に変身する。
普段はのんびり走っているけど、峠などで挑戦されると一気に気合を入れてあっさりと抜き去ってしまう腕前。
そんな腕の持ち主なのに普段は実にゆっくり走る、山でも啓子は同じ様な雰囲気を持っている。

落石を避ける為に、先行パーテイとは一定の距離を開けて後続した。
後続パーティは殆ど密着して啓子の直ぐ後ろに着いてきた。
早いから直ぐ後ろに付いて来たのだろうが、啓子の後ろ姿を眺めて楽しんでいた気もする。
落石を避ける為に、ピッタリと付いてくるという登り方もある。
啓子は細い割には脚力があるし、岩登りも下手では無いと言うのが後続のトップにも分かったからだろう。

啓子も”綺麗な人”と言われて気分がいいのか、後続パーティのトップと楽しそうに喋りながら登って来た。
コラ! 他の男に気安く話しかけるな!!と言いたい感じだった。

中央フェースの頭に立つと、先行パーティの姿は見えなかった。
???、俺達って遅いのか?と思った。
仲尾根を登って一の倉岳へ、その間、啓子はずっと後続パーティの二人と喋りながら登っている。
話に参加出来ないのは僕だけ、一寸むかつく。
啓子をこの二人に上げたら、二人は喜んで連れて帰るだろうなと思ったけど、渡さん、絶対に渡さん!

国境稜線でMPCパーテイに再会した。
衝立を一日延ばして登ったので「落ちたらパクられんじゃ無いかと、ヤバくて」とこぼしていた。
要するに彼らは無届で衝立を登って来たらしい。

MPCの連中と一緒に西黒尾根を下った。
彼らと一緒じゃないと後続パーティの二人から啓子を引き離せなかったので助かった。

幽の沢中央フェース、いいルートだった。
一の倉の凹状と同じ位の困難度はあるのだろうけどずっと易しかった。
多分、それは気分の問題、後続パーティに追い掛け回され困難度を感じている暇が無かったからかも知れない。

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振られる度に、もう恋なんかと何度思ったことか。相手にされないのも寂しいけれど、引寄せられてからストンと捨てられるのはもっと痛い。振られる度に臆病になって、此れは恋では無かったのだと慰める。傷つかない偽りの恋しか出来なくなっても恋は恋、小さくても偽物でも恋は至福です。

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